“No-tions” and something like that

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「農の風景」は、農地のみではなく、複合的に屋敷林(及び伝統的家屋)、雑木林、あぜ道などのいくつかの要素によって成り立っていました。現在の世田谷区の風景が、農地自体は少なくなっても世田谷らしいのは、人口増による宅地化が進んでからも、それらの要素が個人の敷地も含め、いろいろな場所に残っているからです。しかし、その「世田谷らしさ」をつくっている要素は、戦後ずっと減ってきていますし、これからも減りつつあると思われます。世田谷区の予測では、区の人口は2035年をピークに減に転じるそうで、そうなれば状況は変わるでしょう。ただ、今、転換することが出来れば、もっと美しく、より人生に深く関わったかたちでの「農のある風景」を実現できるかもしれないと思います。


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風景づくりの計画や制度は多いですが、敷地面積が大きいもの限定であったり、メリットが固定資産税の軽減等でインセンティブが若干弱かったり、税投入が多かったりするものがあると思われます。また、影響が大きい相続税は、国から増税の方向性が示されており、景観づくりの観点には逆行しています。税制の改変や、区による直接的な事業も有効だと考えますが、むしろ、流れに逆らわないで、「農のある風景」をつくれないか?より多くの一般の方が生産レベルから「農」に関わることができないか?という観点で、いくつかの景のバリエーションを「農のある風景」に加えることを提案します。


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「農ション(のうしょん)」— 農業するマンション
バルコニー、屋上での農業がしやすいように、デザインされ、管理規約も整備されたマンション。
窓際にハーブのプランターを置くだけでも「窓際農業」ができる。

「屋農(おくのう)」— 屋根の上で農業を行うこと
個人宅も、屋根上にデッキを貼ることによって日当たりのよい場所で農業を行うことが可能。
屋農専用に緩勾配屋根で、上がるための階段付タイプもある。

「路農(ろのう)」— 道路近辺で農業を行うこと
道路際は日当たりが良いので、そこで農業を行う。
消防活動の影響の無い路肩にプランター等を置く、または塀を撤去し、
その場所に野菜や果樹を植える。

「瀬田食(せたしょく)」— 瀬田産農作物を食す
「食べる」行為を農地にプラスすることで、農地と周辺住民の接点をつくる。
とれたての野菜やハーブをその場で、又はすぐ近くのカフェで食べること自体が、瀬田の魅力になる。


(日本建築学会 関東支部第15回提案競技建築・まちづくり提案の部
「農のある都市の風景~世田谷のすまいと風景」において、優秀賞を受賞しました。)